GIFT STORY
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2021年8月14日
ギフトを届ける人 vol.5
上田歩武さん
見知らぬ誰かを喜ばせている。
世界でひとつだけの贈り物。
ムードマークのラインナップから、誰かに贈りたいアイテムをクリエーターにセレクトしてもらい、ギフトについて思いを巡らせ、可能性を広げていく連載「ギフトを届ける人」。第5回のゲストは、お笑い芸人で、刺しゅう作家でもあるグッドウォーキンの上田歩武さんです。アイデアでひと工夫はしたいけれど、相手の負担にならないように心がけるのが、上田さんのギフト選びのスタンスです。
親しい友達や先輩にあげたくなる
「ちょうど先日、誕生日だった友達にプレゼントをあげたばかり」という上田さん。仲の良い人や知り合いが誕生日だと聞くと、自然と贈り物をします。
「コラージュアーティストの河村康輔さんは僕よりも1歳年上で、彼の生まれた年と月、そして日の近い『少年ジャンプ』を探して、プレゼントしました。漫画が好きなのは知っていたし、僕らの年代の男連中は、大概『少年ジャンプ』で育ってきているので。何にしようかと考えたときに、昔、先輩の誕生日に生まれ年のワインを贈ったのを思い出したんです。でも河村さんはお酒を飲まないから、だったら『少年ジャンプ』がいいんじゃないかと思いついて、“まんだらけ”に探しに行きました」
贈り物をあげることもあれば、もちろんもらうこともあり、自宅には芸人仲間や友達からのプレゼントを飾っています。
「河村さんから誕生日にもらった作品を部屋に飾っています。こっちは南海キャンディーズのしずさんからいただいた絵。2年前くらいに、特に誕生日というわけではなかったのですが、突然『暇やったから描いた』と渡されて、ありがたくいただきました」
山崎静代さん(しずちゃん)には誕生日のたびに、アナログレコードをプレゼント。それは、上田さんが幹事になって、山崎さんの誕生日会を仲の良い後輩たちと開いたときに、贈ったことから始まりました。
「確か、最初はブルーハーツと、上沼恵美子さんのレコードだったと思います。女性の先輩芸人ということで選びました。しずさんは音楽好きで、レコードプレーヤーも持っている人。それは知っていたので、アナログレコードをと思いつきました。たぶん3、4年前のことです」
プレゼントにはひと工夫、ひと手間かける
スニーカーマニアとしても知られる上田さん。以前付き合っていた女性にスニーカーをプレゼントしたことがあります。その際、ちょっとした演出をしました。
「スニーカーの箱には、モデル名やサイズの書かれたタグが付いているもの。そのモデル名を彼女の名前にして、サイズ表記も誕生日の数字に変えて贈りました。箱が捨てられなくなるから迷惑かなと思ったのですが……」
店で購入したものをそのまま渡すのではなく、何かひと工夫を加える。面白いプレゼントを思いついたらわざわざ探して贈る。そういう自分らしいアレンジをするところに、上田さんのギフト選びの姿勢が見えてきます。
「買ってきたものを『はい』って渡すのももちろんいいんですが、何かひと工夫、ひと手間かけたい相手だったらそうしたいじゃないですか。あげる相手に少しでも喜んでもらいたいと渡すものですから。『こんなのもらったの、初めて』って言ってくれるとこっちも嬉しいですし。何をどうやってあげようかなと考えているときが一番楽しいんですよね」
手刺しゅうで世界でひとつだけのものに
ひと工夫というと、上田さんの刺しゅうアイテムも外せません。2016年頃から刺しゅう作家としても活動。モチーフをすべて手で刺しゅうしたオリジナルキャップレーベル『goodwalkin』を立ち上げ、イベントで発売するなど好評を博しています。
「久しぶりに会う約束をした友達に、サプライズでなにかあげようと思ったときに、インスタグラムで飼い犬の画像をアップしているのを見て、それを元に刺しゅうしたキャップをプレゼントしました。そういう贈り物はまず外さないです」
刺しゅうをやっていてよかった、と思うのはそういうとき。「ずるいですよね」と上田さんは言うけれど、手に技術があるのは素晴らしいこと。そしてそれは世界でひとつだけのものになり、もらう側はただただ嬉しい。
「オーダーを受けたとき、彼女や友達にあげたいという人には、資料になる画像を見せてもらって刺しゅうします。名前やイニシャルのときもありますね。好きな色や刺しゅうする箇所を相談してから進めます」
別に自分に技術があるとは思わない、と言う。けれど、自分の作ったものが見知らぬ誰かのプレゼントになって、その人を喜ばせていると想像すると、やりがいがわいてきて嬉しさに包まれます。
「お返ししないと」と思わせない心がけ
上田さんが誰かにギフトを贈るときに心がけているポイントは、相手の負担にならないこと。そして今の状況を考えて、家で楽しめるものも、心のギフトリストの上位に入ってきます。
「男性にしろ女性にしろ、気持ちの部分であまり重くならないものにしたい。『これをもらったし、何かお返しを』と相手に思わせないようなものにしようと、いつも心に留めています。だから今回選んだギフトは、4つとももらっても困らないものという視点で選びました。あと、このご時世なので家で楽しめるというのも基準にしました」
うすはり タンブラーL ペア 木箱入
「家でドリンクを飲むときに、発泡酒でもチューハイでも缶のまま飲むより、こういうタンブラーに注ぐとちょっと贅沢な感じがするんじゃないかなと思って」。職人の手で作られるうすはりのグラス。非常に薄いガラスで、飲み口がとてもなめらか。お酒に限らずあらゆる飲み物のおいしさが増します。
伊藤農園 100%ピュアジュース&素朴ドリンクセット
夏の暑さに、すっきりした飲み心地の柑橘系ジュースを。みかん、不知火、はっさく、甘夏、カラマンダリンのストレートジュースと、さとうきびを加えたゆず、レモン、だいだいのジュースをセットにして。「ジュースの嫌いな人間はこの世にいないと思っています。こういう実用品は負担にならなくていいですね」
簡単には会えない状況ではあるけれど、そもそも社会人になると、学生時代のように友達と毎日顔を合わせるわけではなく、約束してスケジュールを調整して会うことになります。せっかく久しぶりに会うのだから何かプレゼントを、という意識が働くのも自然なことかもしれません。
「親しい人ならどんなものでも喜んでくれるはず。好みとずれているからと残念がるような友達と、僕は付き合っていないと思うようにしています」
買いに行けないときに嬉しい日用品ギフト
もう一つ、上田さんらしいのは、すぐに使えるという視点。
「シャンプーや洗剤は、なくなってもなかなか買いに行けない場合がありますよね。きょうは絶対に買わないといけないとわかっていて、そう思いながらもまっすぐ帰宅することになってしまって、お風呂に入ったらシャンプーがないとか。僕は結構あるんです。そういうときに、もらったシャンプーや洗剤がストックされていたらいいなと。すぐに使わなくても、あると助かると思って」
ザ/THE THE 洗濯洗剤
界面活性剤の量を通常より少なくしたことで、生分解速度が早くなり、環境に負荷をかけないよう配慮された液体洗剤。コットンはもちろん、ウールやシルクにも対応。薄めると掃除にも使えます。「今すぐ使わなくても、あると助かるのが洗剤。地球環境保護にこだわりのある人も、そうでない人にも対応できるところが、僕はいいと思います」
ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD パスタソースセット
赤ワインとトマトのボロネーゼ、あさりとドライトマトのボンゴレビアンコ、バジル仕上げのピリ辛アラビアータ、3種のきのこの濃厚クリームソースの4種のパスタソースセット。「家で食事をする人が増えていると思うので、パスタソースはストックしておけるし便利」
日用品がいいと思った理由の一つは、以前にノンスタイルの井上裕介さんに巨大パッケージの柔軟剤をもらったことも影響しています。
「それは本当にめちゃくちゃ大きな柔軟剤でしたが、とても重宝しました。僕自身は洗えれば何でもいいというタイプですが、これを使って柔軟剤って必要なんだとわかったんです。ストックしておけるという意味では、日用品をあげるのはいいんじゃないでしょうか」
この状況だからこそのオンラインギフト選び
ムードマークのようにオンラインでギフトを送る行為について、上田さんはメリットしかない、と語ります。
「こんなに手軽にギフトを送れるのはすごくいいこと。友達と喋っていて、急に思いついて検索し、会話の内容に合ったギフトがあれば、こっそり送ってサプライズができるかもしれない。また、僕もそうなんですが、地元に帰れない、親に会いに行けない人が大勢います。帰省のときはお土産を持って帰りますが、今はそれができない。だから、こういうサービスで実家に送れるというのは非常にありがたいこと。これをきっかけにもっとこういうサービスを使っていきたいですね」
PROFILE
■グッドウォーキン 上田歩武
1980年11月12日生まれ。B型。滋賀県彦根市出身。20歳で大阪NSCに入学。23期生。2010年に上京。2015年に同期の良平とグッドウォーキンを結成。2017年より刺しゅう芸人として、オリジナル手刺しゅうキャップ『goodwalkin』をスタート。著書に『ひまつぶ刺しゅう』(オークラ出版)がある。
「グッドウォーキン上田歩武の新作展」
日時/8月16日(月)〜22日(日)、平日11時半〜20時(土日11時〜)
会場/reload 1-8 POP UP SPACE
(東京都世田谷区北沢3-19-20 reload_shimokita)
https://reload-shimokita.com
Photo / Ayumi Yamamoto Text / Akane Watanuki Edit / Takahiro Shibata(Kichi)