GIFT STORY
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自ら使ったり食べたりした実体験から
確信を得たことがギフト選びの軸に。
ムードマークのラインナップから、誰かに贈りたいアイテムをクリエーターにセレクトしてもらい、ギフトについて思いを巡らせ、可能性を広げていく連載「ギフトを届ける人」。第8回のゲストは、写真家の本城直季さんです。誰かにギフトを贈るのは得意、と微笑む本城さんが、贈り物を選ぶときに大切にしていることとは?
離乳食や餃子を作るときにフル活用
本城さんのギフト選びのいちばんの特徴は、使ったり食べたりして気に入ったものを贈っていること。
「誰かに何かをプレゼントするときは、いつも自分が知っているものをあげています。お店に見に行ったりリストを見たりしているときに、ああ、これは以前使ってよかったとか、食べておいしかったと印象に残っているものを選ぶようにしています」
だから、今回のセレクトはどれも本城さん自身が好きなものや、以前から「これは……!」と狙っているものを中心としたラインナップです。
バーミックス ベーシックとの出合いは約10年前。「子どもの離乳食を作る際に、材料をすり潰すのにとても便利ですよ」と日本橋三越の販売員をしている知り合いから勧められて購入。当初はそれ程使っていませんでしたが、その便利さに目覚めてからはどんどん使用頻度が高くなり、今ではヘヴィーローテーションのアイテムに。
「ハンバーグを作るときの玉ねぎのみじん切りや、餃子のあん作りには欠かせません。餃子は中に入れるあんを作って市販の皮で包むのですが、旬の野菜をこれで砕いてあんにしています。他にも、ヨーグルト作りで軽く混ぜるときやホットケーキミックスを撹拌するときも、すぐに手にしてしまいます」
あまりにも始終使うので、現在はキッチン台の壁に専用フックを取り付け、そこに常にセット。すぐに取り出せるような状態にしています。
料理を始めたのは、実家から独立して一人暮らしになってから。食べることが大好きで、外食だけでは物足りず、もっといろいろ食べてみたいという気持ちが包丁を握らせました。結婚後も変わらず、キッチンに立ち続けています。
「得意料理は餃子です。白菜やキャベツ、きのこ類などの野菜を入れた具だくさんの餃子を、家族の人数分作ります。きのこ類を入れるとコクが出るんです」
バーミックス ベーシックをフル活用している本城さん。子どもが生まれるときに購入したこともあり、やはり結婚や出産のお祝いとしてプレゼントしたい、というアイテムです。
バーミックス/bamix ベーシック ミキサー・ブレンダー・プロセッサー
スイス生まれのバーミックス ベーシックは、潰す、混ぜる、泡立てる、刻む、擂る、粉砕するなどが、これ1台でできるハンディフードプロセッサー。調理の準備はもちろん、離乳食や幼児食、ヘルシーメニューにも活躍。片手で使えて、コンパクトに収納できる設計です。「障害を持つ子どもがいて、食べるのが苦手なせいもあって離乳食の期間がやや長かったのですが、そういうときにもこのミキサーは非常に役立ちました」
どんな飲み物にも合いそうな飽きのこないデザイン
食べることが大好きなので、食器もないがしろにはしません。このイッタラのペアグラスは、デザインがかわいくて、さりげないところに好感を持っています。
「いつか買いたいと狙っているグラスです。日常的だけれど佇まいがいい。ふだん水を飲むのにも使いたいし、ビールを入れても、ワイングラスとしても良さそう。中に注ぐ飲み物を選ばないデザインだと思います」
飽きのこないフォルムで、容量もたっぷり。子どもが側にいても倒れにくい形であることも、惹かれる理由の一つです。
「お酒は週末に飲みますね。平日だと飲み過ぎてしまうので。子どもたちの食事が終わった後に、妻とともにおつまみを食べながらお酒を楽しむ感じです。だから、ペアグラスだとちょうどよさそう。誰かにプレゼントするとしたら、結婚祝いかなと思います。ぜひ晩酌に使ってほしい」
イッタラ/iittala レンピ グラス クリア ペア
フィンランドの村から発祥し、世界的なブランドに成長したイッタラ。レンピと名付けられたこのグラスは、パーティの場面にも生活シーンにも馴染むデザインが特徴。スタッキングできるので、収納にも便利。「イッタラの食器は好きでいろいろ使っていますので、信頼感があります。このグラスはまだ持っていませんが、とても使いやすそう」
パリの店で食べた体験からイメージが一新
以前、撮影でパリを訪れたときに、カフェ ピエール・エルメで食べたマカロンの味が忘れられない、という本城さん。
「マカロンはそれまでにも日本で一度くらいは食べたことがありましたが、特に印象には残らなかったし、そもそもマカロンという食べ物にチャラチャラと浮ついたものを感じていて、ちょっと馬鹿にしていたところがありました。ところが、知り合いに連れて行かれたパリのカフェ ピエール・エルメで食べてみたら、すごくおいしくて。考えを改めました」
マカロンを扱うパティスリーは日本にもたくさん増え、定番スイーツとして認識されつつありますが、ピエール・エルメ・パリのマカロンは別格のおいしさ。
「香りが豊かだし、フルーツなど旬のフレーバーが楽しめるのがいいですよね。季節によってフレーバーの種類は変わっていきます。もちろん、フランボワーズやピスタチオなどの定番も好き」
食べ物を贈るときにも、自分が食べておいしかったから、人にも食べてもらいたいという思考が働く。このマカロンボックスは誰かのアトリエや家を訪問するときに、手土産として持っていくのにちょうどよさそうとセレクトしました。
ピエール・エルメ・パリ/PIERRE HERMÉ PARIS マカロン 15個詰め合わせ
その独創性と華やかさでパティスリー界のトップに輝くピエール・エルメ。シグネチャーであるマカロンは、甘い夢を閉じ込めた宝石のようなお菓子。香り高いフレーバーとロマンティックなカラー、ふっくらとしたフォルムとサクッとした歯ざわり。舌の上で美しいハーモニーを奏でます。「僕はお酒にも甘いものにも目がないんです。食べるのは食後、コーヒーを飲みながら、ということが多いですね」
もらったものの中でいちばん使っているのは筆記用具
プレゼントされたものは、ほぼそばに置いているという本城さん。特によく使っているのは筆記用具。大学時代に友達がくれたオロビアンコのペンケースは今も現役です。中に入っているのは、愛用しているアメリカの筆記具ブランド、シャーピーのペン。それを知っていた妻が、まだ友達だった頃に専用カバーをプレゼントしてくれました。それ以来ずっと付けて使っています。
そこでしか手に入らないものを贈り物に
本城さんがギフトを贈るときには、大抵の場合手書きのメッセージを添えます。そのときのメッセージカードや封筒のデザインにも気を配るタイプ。
「海外の古い切手をリーズナブルな価格で売っている店があって、そこで手に入れたかわいいデザインの切手でメッセージカードをデコレーション。ギフトとともに贈ることもあります」
添えられたメッセージカード自体が、世界で一つだけの特別なギフト、ともいえます。それは本城さんがわざわざ専門店に足を運び、その店でしか手に入らないものや、一点ものを選んで贈り物にすることにも密接につながっています。
セルフメンテナンスで結果を出したケアグッズ
「写真を撮る仕事をしていると、重い荷物を持ったり長時間かがんだりして、どうしても体に負担がかかります。あるときから腰や肩を壊しがちになって、撮影した翌日は動けなくなるほどに。それで自分でストレッチをしたり、こういうケアグッズを駆使したりするうちに、セルフメンテナンスの重要性に気づいたんです。どうすれば体がほぐれて回復するのかなど、だんだん詳しくなっていきました」
マイトレックス リバイブ ミニは体の固くなった部位に当て、振動でほぐすケアグッズ。本城さんはこれに似たツールを愛用しています。
「振動で凝りをほぐすグッズはいろいろ持っているのですが、これは強さが他と全然違う。これに出合ってからは他のものでは満足できなくなりました。全身オッケーですし、顔にも使えるんですよ」
振動レベルが5段階で変えられ、アタッチメントも好みに合わせて付け替えられます。そしてコンパクトだから持ち運ぶのが簡単。
「撮影現場に持って行って他の人をよくマッサージしています。するとみんな『これは効くね』と気に入って、中には自分で買った人もいるほど。まるで伝道師みたいになっています」
基本は凝っている部位を柔らかくほぐすことを目指すもの。固くなっているのは筋肉が歪んでいるところだから、そこに当てると少しずつほぐれていくといいます。
「毎日ではないのですが、疲れたなというときに使っています。胸筋近辺や脇とかに当てるのも気持ちよくておすすめです」
マイトレックス/MYTREX MYTREX REBIVE MINI
美容や健康家電業界のパイオニアとして支持されるボディケアブランドのマイトレックス。現代人の生活に寄り添う手軽さ、使いやすさにこだわった製品づくりを心がけています。体や顔の気になる筋肉を刺激するこのアイテムは、毎分最大3000回、振幅7mmでパワフルな振動を生み出すもの。「ギフトとして贈るなら、もちろん同業の友達や知り合い。そして体が痛いと言っている人。うちでは子どもにもやってあげると喜ばれるくらいなので、家族で使ってほしいです」
スマートフォンの時代だからこそ使ってほしい
もう一つのケアグッズは、ラクナのネックポール。首の凝りをほぐすアイテムはいろいろ持っているなかで、これはよさそうと今回リスト入りさせました。
「家にたくさんあるケアグッズの中には、このネックポールのように首のツボ押しとストレッチを同時に行うものはまだありません」
スマートフォンの多用によって肩凝りやストレートネックに苦しむ人が増えている昨今ですが、目安として1日5分くらいこの上に寝転ぶだけで、改善を促してくれるというケアグッズ。自分ではなかなか興味がわかなくても、プレゼントされるとちょっと使ってみようかな、と思えます。
「僕も昔は姿勢が良くなかったし、腰などを痛めてマッサージに通っていました。けれど、人任せだとそれ以上良くならないことに気づいて、自分でケアする方向に転換したんです。それでケアグッズを使い始めたところ、だんだん調子が整ってきた。よく通販で売っているグッズは、僕もいろいろ買って試した結果、体に合わないと使わなくなりますが、合うものを見つけてしっかり使いこなすとケアできるものです」
ラクナ/RAKUNA ネックポール
床に置き、この上に仰向けに寝転んで静止、または簡単なエクササイズで体をリラックスさせる健康器具。突起部分は指の感触を意識した作りで、首のケアを行う。首から肩がすっぽりと収まることで、肩甲骨を寄せながら胸を開き、背筋にもアプローチする形状。プロの手技を再現した仕様で、リフレッシュを促します。「これは手軽に家でできそうで興味津々。スマートフォンを誰も持たない家は少ないはずなので、一家に一台くらい必要なのでは、と思います」
ギフトを贈るのが好きだし、得意なほう
ギフトは何より楽しんで選びたいから、店に足を運ぶのも好き。そして、そこに至るまでのワクワク感も大事にしています。
「地元から一駅離れたところに、親に買ってもらったことのある好きなケーキを置いているお店がありました。小学校3年生の頃にそれを親にあげようと思いついて、お小遣いを握りしめて自転車で買いに行ったんです。最初は売り切れていて、翌日再び訪れましたが、その間ずっとワクワクしていたのを覚えています」
その頃からもうすでに自分の好きなもの、気に入っているものを贈って、相手に喜んでもらいたいという、本城さんのギフト選びの特徴が表れています。
ギフトを贈ることは好きだし、自分は得意なほうだと思う、という本城さん。オンラインでのギフト選びでも、知っているものをセレクトし、知らないものの場合でもできるだけ直接確かめる。これはいいものだから、という体験から得た確信があるからこそ、自信を持って贈ることができるのです。
PROFILE
■本城直季
1978年東京生まれ。2004年、東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻写真領域修了。2006年、『small planet』(リトル・モア)で第32回木村伊兵衛写真賞を受賞。2022年に「本城直季 (un)real utopia」(東京都写真美術館)を行う。主な写真集に『京都/KYOTO』(淡交社)、『東京』(リトル・モア)などがある。作品はメトロポリタン美術館などにパーマネントコレクションとして収蔵されている。
連載 東京の台所2
https://digital.asahi.com/and/serialstory/tokyo-daidokoro2/
https://www.instagram.com/naoki.honjo/
http://www.honjonaoki.com/
http://shinogo45.com/
Photo / Ayumi Yamamoto Text / Akane Watanuki Edit / Moe Nishiyama