GIFT IDEAS
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2020年6月9日
ムードマークのオリジナルギフトが誕生。
紅茶ギフト「Diaries 日記たち」に
込められた思いとは?【前編】
「MOO:D MARK by ISETAN(ムードマーク バイ イセタン)」のオリジナルギフトが遂に完成しました。その記念すべき第一弾は、紅茶セット「Diaries 日記たち」。そのクリエイティブディレクションを手がけたのは、作家・漫画家の小林エリカさんとグラフィックデザイナーの田部井美奈さん。日記文学からインスパイアされたフレーバーの紅茶を作りたいという彼女たちのアイデアに共感し、その思いも汲んで、香り高く味わい深い紅茶に仕上げたのはダージリン紅茶専門店「リーフル」代表の山田栄さん。大切な人の日常に上質と豊かな時間を贈るためにスタートした今回の紅茶づくり。そのクリエイションに込められた思いとストーリーを紐解きます。
INDEX
ムードマークのオリジナル紅茶ギフト「Diaries 日記たち」に込められた思いとは
贈り物に物語を添えて
「普段から相手のことを考えたときに思い浮かぶストーリーをかたちにするようなギフトをお互いに贈り合うことが多くて。それこそ、私が婚約した時に小林さんから歌のプレゼントを頂いたんです。ある歌の歌詞をアレンジした手書きの楽譜を額装してくれて。それはすごく嬉しかったですね」
開口一番、そんな素敵なエピソードを話してくれたのは、グラフィックデザイナーの田部井美奈さん。今回のプロジェクトでは、紅茶のパッケージやリーフレットのデザインを担当。そして、今回の企画のパートナーを務める作家であり、漫画家でもある小林エリカさんとは旧知の仲。クリエイティブユニット「kvina」のメンバーとして、長年にわたり、共に活動を続けている。
「その時も、物と一緒に私たちの想いもあわせて伝えられるような贈り物にしようって、みんなで話しあったんです。だから、今回の紅茶も何かしらのメッセージを込めて、ストーリーを贈れるものにしたいと思いました」と小林さん。そんな彼女たちが今回の紅茶づくりのモチーフに選んだのは、今から千年以上前の平安時代に書かれた『和泉式部日記』。小林さんが自身の著書『親愛なるキティーたちへ』の中で、偶然見つけた父の古い日記をきっかけに、愛読書であった「アンネの日記」の著者の人生を辿る旅に出たように、日記には時間や場所を超えて、過去と現在の人々をつなぎ、遠い記憶を呼び覚ますような不思議な力があると小林さんは言う。
日記文学の普遍的な景色と感情
「“この世は、恋は、夢よりも儚いと、嘆いては、哀しみに明け暮れているうちに、四月十何日かになっていて、ふと見れば、木々は芽吹いていて、地面に落ちる影がしだいに色濃くなってゆく。”という一節から『和泉式部日記』は始まるんですけど、私たちの生きている世界でも彼女が生きた時代と同じように四季が巡り、人間の営みは続いています。千年後を生きる私は、なお彼女の喜びや悲しみに共感するし、今も昔も、人は変わらず日々揺れ動く感情と向き合いながら、今日というかけがえのない日を生きているのだと思います。何気なく思える一日が、それぞれの人にとって特別な日になりますように。そんな思いを込めて、今回の紅茶づくりの題材に日記を選ぶことにしました」
たとえ同じ日であったとしても、それぞれに違う毎日を生きている私たち。紅茶を飲んだ人が今日という日を想うだけでなく、過去や未来にも思いを寄せながら、自分自身の日記を記したくなるような紅茶を作ってみたい。そんな二人の抽象的かつ難しいオーダーに応えてくれたのが、ダージリン紅茶専門店「リーフル」代表の山田栄さん。世界最高峰の紅茶の産地であるダージリンを中心に各地の農園を訪ね、生産者と対話を重ねながら、選び抜いた茶葉を日本に紹介してきた紅茶界のスペシャリストだ。
「毎日、紅茶と共に生活していて、いろんなことから刺激を受けたりするんですけど、重点を置く世界がいつもと違ってとても新鮮でした。すぐそばにあるはずなのに、そういう想いに触れてこなかったことに改めて気づかせてもらって、想像力を掻き立てられるというか、自分の中の新しい扉が開かれるような気持ちになりました」
今回のプロジェクトで山田さんが手がける紅茶は3種類。小林さんが『和泉式部日記』から選んだ4月10日、7月7日、そして9月21日の日記を題材にしながら、その和歌のイメージに合わせた紅茶をブレンドしていく。果たして、山田さんはその日記をどう読み解き、五感に届く味と香りを作っていくのか? 気になる紅茶づくりの行方は後編へと続きます。
※『和泉式部日記』引用部分は、小林エリカさんによる意訳
■プロフィール
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■ 小林エリカ
1978年生まれ。作家・漫画家。主な著書に、『マダム・キュリーと朝食を』(第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(共に集英社)、父とアンネ・フランクの日記を題材にした『親愛なるキティーたちへ』、"放射能"の歴史を辿るコミック『光の子ども1−3』(共にリトルモア)などがある。 -
■ 田部井美奈
1977年生まれ。アートディレクター・グラフイックデザイナー。服部一成に師事後、2014年に独立し、広告、CI、パッケージ、書籍、雑誌などを中心に活躍。2009年より「kvina」としての活動もスタート。小林エリカの書籍『マダム・キュリーと朝食を』の装丁も手がけている。 -
■ 山田栄
リーフル代表。1988年に同社を創業。インド・ネパールなど各地の農園に出向き、高品質の茶葉を輸入。ティーセミナーの開催など、紅茶の普及に勤め、その深い知識に定評がある。銀座、二子玉川の直営店ほか、「銀座三越」や「伊勢丹新宿店限定ブランド(ナヴァラサ)」でもその茶葉を取り扱っている。