<アーリーモーニング>が目指す紅茶の世界!魅力詰まった紅茶をギフトに
岡山県新見市でこだわりの紅茶作りを行う「アーリーモーニング」。代表の宮本英治さんが目指す紅茶の世界と四季によって味の変化を楽しめる紅茶の魅力についてお話を伺いました。
自然の力を感じる味わいが楽しめる<EIJI MIYAMOTO>の紅茶ギフト
「アーリーモーニング」を営む宮本英治さんが作る<EIJI MIYAMOTO>の紅茶ギフト「No.7ティーバッグ3種セット」と「No.1ファーストフラッシュ&No.5ミルクティブレンド リーフティ2箱セット」を販売開始:D
イギリスへの憧れから紅茶作りを始めるまで
宮本さんが紅茶に興味を持ち始めたのは中学生の頃。イギリスに対しての憧れがあったといいます。
高校生になった頃には食の宝庫である地中海文明に興味が移り、学んでいるうちにイタリアやフランスの料理にも関心が出てきました。イタリアやフランス料理となるとワインは不可欠。
そんな時に『ワインの話』という本を読み、一節である“ワインは農業である”という言葉に感銘を受けたのだとか。ワインは、一軒一軒それぞれのシャトー(城)の中で自分が拵えたブドウを醸造しワインになります。
「そんなワインのような一つひとつ味が異なるものを料理に合わせていくことに魅力を感じました。紅茶もこれと同じなのです」
ところがワインと紅茶では違いがひとつだけあります。
「フランスではディナーに誘い、子供は子供たちだけ、大人は大人たちだけで集まってワインを飲みます。じゃあワインを飲めない人はどうやって参加すればいいの?という思いがありました。
しかし、イギリスに行くと、最上のおもてなしは午後の紅茶なのです。「明日の昼下がりに家に来ませんか?子供も連れてきて一緒に楽しみましょう」といった世界。そんな世界が存在することにとても感動したことを覚えています」と宮本さんはいいます。
そんな宮本さんがもともと学生時代に主に勉強していたのは幼児教育で、幼稚園の先生になりたかったそうです。
岡山県で採用試験があり、まずは採用試験を受ける為の試験に合格する必要があったそうですが、当時男性は採用していなかったのだとか。
宮本さんは『地元の教育長さんに認めてもらえれば道が開けるのではないか』と思い、まずは教育委員会の採用試験を受け、結果は合格。希望通り社会教育課に配属してもらい、そこで3年間勤めました。
教育長の方が退任される時「みんな知っていると思うけれど、もともと宮本は幼稚園の先生になりたかった。それを自分ではさせてあげることができなかった。そんな思いを抱いて退任することが悔しい」と言ったそう。
それを聞いた宮本さんは泣きながら「僕も辞めます」といったといいますが、もう一人の社会教育主事の先生に「文部省も社会教育課が筆頭になってきているので、幼児教育の専門の技術を持った社会教育主事になりなさい」と言われたそうです。
そこで宮本さんは国立教育政策教習所に入れてもらい資格を取って戻り、幼児教育の勉強をしました。しかし、宮本さんの中では現場で発揮してこそ、との思いもあったとのことです。
「その当時住んでいた街でも採用試験があったのですが、やはり男性は採用していませんでした。幼稚園の先生ができない状況で一体自分にはなにが残っているだろうか?と考えた時僕には紅茶しか残っていなかった」
本を読んで紅茶の勉強することはその間もずっと行っていましたが、具体的に動き始めたのはここからだといいます。
テーマパークのようなお店を作りたい。宮本さんが目指した紅茶の世界
勉強し知識をつけ始めた頃に「良かったら先生をしませんか?」と声をかけていただき紅茶教室を始めました。常に新幹線か飛行機で全国を駆け巡る生活だったといいます。
ある町ではできたてのダージリンを美味しいと言ってくれますが、次に降り立った町では同じことをしても全く感動がなく、一年間これで悩んだそうです。
「一年経った頃に入れる水が違えば紅茶の味は変化するということに気づきました。紅茶は99.4%水が主成分になるので水によって味が変化します」
それからは、まずその土地の水を飲ませてもらい 『今日はこの紅茶はやめてこっちにしよう』といった合わせ方ができるようになったそう。
また、地域の人たちの尊重しなければいけない習俗や文化を飛び越えて、これがダージリンだから良いに決まっているだろうと話してもだめだということにも気づいたのだといいます。
「これは紅茶の本を読んでいる場合ではないと思い、そこからは習俗と民俗学の本ばかり読み漁りました」
「そしていま世界中の人が紅茶を飲んでいるのは、発酵した紅茶だからこそです。発酵していない生の緑茶だとミルクなどを組み合わせてもなかなか受け入れられません。
一方、発酵している紅茶だとボディが重厚で、あらゆるものを混ぜてもちゃんとそれに合わせることができます」
「その世界を大事にしていくことが重要。アメリカであろうと日本であろうとそれぞれの場所で様々な飲み方が存在します。これが紅茶の特徴です。そのことに3年間全国歩きをさせて頂いた時に気づけたことは大きな財産になりました」
「紅茶は生産国と消費国の二つがあって成り立っているので、その二つが集まったテーマパークのような紅茶のお店を作りたいと考えました。これがアーリーモーニングのシャトーの大きな特徴として存在できればいいなと思っています」
「紅茶は農業である」特別な環境と四季によって生まれる紅茶の魅力
たとえ収量が少ししか採れなかったとしても香りの良いダージリンのような紅茶を作りたかったと宮本さん。
「ここは急斜面の東向きの土地で、この下は盆地で太陽は常に日を当ててくれている環境。
小坂部川が冷たい水を運んでくれて変化を起こし雲海ができます。日が昇ると同時に霧になり、上昇気流と一緒に登ってきて茶園を覆います。この流れがインドのダージリン地方とよく似ています」
上に登った空気が夕方の3~4時になると冷たい空気になって降りて、工場の中に入り酸化発酵させます。自然の浄化ポンプが働いているのです。
そしてここで作る紅茶は、四季によって味が変化します。
「冬は一面雪景色で毎日除雪車が雪かきにくる環境。この冬があるからこそ、春摘みの紅茶はエネルギーをずっと溜め込み、雪が一気に溶けて紫外線が当たり始めた頃に伸びてくる紅茶は力が強いです」
「夏になると緑の世界。雨をしっかり浴びるので水分が豊富で、気温が高く紫外線をたっぷり浴びます。この時できる紅茶はフルーティーでミルクティーに向いています。
そして秋摘みの紅茶の特徴は、冬に雪が降ることを木はわかっているので水を吸わなくなります。水を吸わなくなると葉っぱの中の水分だけが蒸散して抜けていき、香りのエキスだけが葉っぱの中に残ります。この時の葉っぱは、乾燥しているのでたくさん摘んでも軽いです。その葉っぱで紅茶を作るとダージリンにとてもよく似ているオリエンタルな紅茶に仕上がります」
特別な一杯よりも日常で飲まれる紅茶を
「お茶をください」というと日本ではほぼ緑茶のことですが、海外では紅茶のことを指します。
紅茶の味をよく知っている海外の人たちが宮本さんの紅茶を飲んだ時に「あなたの紅茶はおいしかった。でも普段は決まった紅茶を飲んでいるから今回は申し訳ないけど…」という方もいれば「あなたの紅茶はおもしろい!帰ったら飲んでみます」という方もいたのだとか。それは同じ紅茶として認識されているということになるので嬉しかったのだそう。
イギリス人に「なんだこれ。ただの紅茶ではないか」と言われること。それが宮本さんにとっては最大の賛辞なのです。
「僕にとっては、ダージリンやアッサムと同じように横に並べてもらわないと意味がない。日常で当たり前に飲まれる“ただの紅茶”として認識してもらいたいのです」
「なにか紅茶に関わった証というか、こんな日本人が紅茶を作ったんだということを刻んでもらえれば本望です」と宮本さんは語ってくれました。
<アーリーモーニングのお店では、紅茶に加えてランチも提供しています。開店当時からある人気のカレーライスを頂きました。とっても美味しかったです!>