「イチゴ農家の贅沢プリン」
花の土づくりから生まれた、イチゴのご褒美スイーツ
岡山県美作市の「美作農園」は、花づくりで磨いた“土の力”を受け継ぎ、いちご・ぶどうの栽培と自社工房のスイーツづくりを行う観光農園。
澄んだ吉野川の水と、温暖ながら昼夜の寒暖差に恵まれた地の利を生かし、高設栽培×独自ブレンド土で味を追求してきました。
果実のジュレとプリンが二層になった「岡山プリン」は、蒜山ジャージー牛乳のコクが生きる贅沢な一品。
農園の広報担当の笠原真由子さんへのインタビューをもとに、ギフトに選ばれる理由を紐解きます。
花づくりからイチゴ農園へ──美作農園の原点と進化
岡山県美作市にある「美作農園」。 数々の賞を受賞しているいちご作りに加え、いまでは「岡山プリン」やチーズケーキなどのスイーツでも全国にファンを持つ観光農園ですが、 その原点は意外にも花づくりにありました。
もともと農園は花屋としてスタートし、苗や鉢花を育てて販売していたのです。当時から大切にしていたのが“土”。
花を健やかに、美しく育てるには土の質がすべてといっても過言ではなく、丁寧に作られたその土は評判を呼び、遠方からわざわざ買い求めるお客様もいたほどでした。
「この土の力をもっと多くの人に届けたい」。そう考えた初代が次に挑戦したのがいちご栽培です。
花づくりで培ったノウハウを果実の世界に応用し、独自にブレンドした土を活かして「甘さと香りをしっかり感じられるいちご」を追求。
こうして美作農園は、花からいちごへと大きく舵を切ったのです。
現在の農園は、いちご約85アール、ぶどう約110アールという規模を誇り、県内でもトップクラス。
冬から春はいちご狩り、夏から秋はぶどう狩りと、季節ごとに果物狩りを楽しめる観光農園として多くの家族連れや旅行客が訪れています。
広々としたハウスに入ると、目の高さに真っ赤ないちごがずらりと並び、思わず笑顔になる光景が広がります。
農園内には加工場やカフェスペースも併設され、採れたての果実を使ったスイーツをその場で味わえるのも人気の理由です。
育てられているいちごの主な品種は「おいCベリー」「章姫(あきひめ)」「紅ほっぺ」「さちのか」。
それぞれに個性があり、甘みが強いもの、香りが華やかなもの、酸味と甘みのバランスが良いものなど、食べ比べをすると違いがはっきりわかります。
たとえば「おいCベリー」はビタミンCが豊富で、甘さと酸味の調和が絶妙。「章姫」は果肉が柔らかくジューシーで子どもや女性に人気があります。
「紅ほっぺ」は香りが高く、しっかりした酸味が後味を引き締め、「さちのか」はコクのある濃厚な甘みが特徴。
訪れた人は「どれも美味しいけれど、お気に入りを見つけたい」と夢中になってしまいます。
美作農園のモットーは「量より質」。収穫量を追い求めるのではなく、一粒一粒の美味しさを高めることに力を注いでいます。
苗に実らせる数をあえて制限し、その分の栄養を選ばれたいちごに集中させることで、大粒で糖度が高く、果肉がしっかりとした濃厚ないちごが育つのです。
こうして大切に育てられた果実は、農園での体験を通しても、ギフトとして贈られても、
人の記憶に残る味わいとなります。花づくりから受け継がれた“土へのこだわり”が、いまでは「人に喜ばれる果実」を生み出す力となり、
いちごやぶどう、そしてそこから生まれるスイーツへとつながっているのです。
手間を惜しまぬ「味づくり」──水・気候・用土と高設栽培

美作農園のいちごをひと口食べると、甘さの中にしっかりと酸味があり、味わいに奥行きを感じます。
その理由は、自然の恵みと農園ならではの工夫が重なり合っているからです。
まず大きなポイントは、農園のそばを流れる吉野川(吉井川の支流)の清らかな水。いちごにとって水は命そのもの。
澄んだ水で育った実は、みずみずしく、爽やかな風味をまといます。そこに、美作ならではの温暖な気候と昼夜のはっきりした寒暖差が加わります。
昼間は太陽の光をたっぷり浴びて糖を蓄え、夜は冷え込みによって旨みを閉じ込める。この自然のリズムが、ただ甘いだけではない“深みのある味”を生み出しているのです。
もうひとつの秘密は、花づくり時代から受け継がれた土の知恵を活かした「魔法の袋」。 これは独自にブレンドした用土を袋状の培地に詰め、それを高い位置に並べて育てる高設栽培**のスタイルです。 腰をかがめず手入れができ、衛生的で風通しもよく、病害虫も防ぎやすい。 お客さまが体験するときは、ちょうど目の高さに真っ赤ないちごが並び、見た目にも楽しめる光景が広がります。
そして美作農園の基本方針は「量より質」。1本の苗にたくさん実をつけるのではなく、数をぐっと絞り込み、選ばれたいちごに栄養を集中させます。笠原さんは「大事ないちごに栄養をゆずってあげる感覚」と笑顔で話しますが、その丁寧な栽培が濃厚な甘さとコクを生み出すのです。
特に冬から春にかけての寒い時期に育ったいちごは、成長がゆっくりなぶん糖度が高まり、粒も立派に育ちます。この時期に収穫される実は贈答用として人気が高く、百貨店では高級ギフトとして扱われるほど。
広がる香り、甘酸っぱいジューシーさ、後味に残るやさしい余韻――そのすべてが「水」「土」「気候」、そして「人の手間」の積み重ねです。
農園では毎日、温度や成長の様子を細かく観察しながら、一粒一粒を大切に育てています。
「また食べたい」と思ってもらえるように。その願いを胸に、美作農園では今日も赤く実ったいちごが丁寧に育てられているのです。
もったいないから、おいしく──「岡山プリン」二層の贅沢
美作農園のスイーツづくりは、「せっかく大切に育てたいちごを、少し傷がついただけで出荷できないのはもったいない」という気持ちから始まりました。 観光農園を訪れたお客さまに「持ち帰りたくなる商品をつくりたい」という思いも重なり、果実を使ったお菓子づくりへの挑戦がスタートしたのです。
試行錯誤の末に誕生したのが、今では看板商品となった「岡山プリン」。
工房で一つひとつ丁寧に手作りされるこのプリンは、上層に果実のジュレ、下層にプリンが重なる二層仕立て。
スプーンを入れる瞬間から心が弾むような華やかさがあります。
上のジュレには、農園自慢のいちごやぶどう、さらに岡山を代表する白桃を贅沢に使用。果肉をしっかり残すことで、まるで果物をそのまま頬張っているような食感を楽しめます。下のプリン部分には「ゴールデンミルク」と呼ばれる蒜山ジャージー牛乳と、濃厚なコクをもつ岡山県産ブランド卵を使用。
素材の良さを活かしたやさしい甘さと、なめらかな舌ざわりが広がります。
「どれも果物の個性がしっかり表れ、「とろりとしたジュレ」と「ミルキーなプリン」が重なり合うことで、果実の魅力が一層際立ちます。実際に食べたお客さまからは「果物の甘さがそのまま味わえる」「プリンが優しいから果実が主役になっている」といった声が多く寄せられています。
さらにラインナップには「いちごのチーズケーキ」も加わりました。
濃厚なチーズにいちごの爽やかさを組み合わせたケーキは、大人のご褒美スイーツとして支持を集め、ファンの輪を広げています。
「農家がつくるスイーツ」と聞くと少し意外に感じるかもしれませんが、美作農園にとっては自然な流れでした。
長年大切に育ててきた果実を、最後まで美味しく届けたい。その想いがプリンやケーキという形になり、多くのお客さまの手に渡っているのです。
スイーツを通じて果物の魅力を知っていただくことで、「美作農園のいちごってこんなに美味しいんだ」と感じてもらえる。そこから観光農園に足を運んでもらったり、リピーターになっていただけたりする。岡山プリンは単なるデザートではなく、農園とお客さまを結ぶ大切な橋渡し役となっているのです。
「果実を味わう体験」を全国へ──美作農園のこれから
美作農園が目指しているのは、ただいちごやぶどうを「食べてもらう」ことではありません。
果実を通して感じるワクワクや驚き、そして誰かに贈ったときに広がる喜び。届けたいのは、そうした「体験そのもの」です。
これまでの販売は岡山県内や関西圏が中心でした。
観光で訪れたお客さまがいちご狩りやぶどう狩りを楽しみ、その場で果実やスイーツを手に取って帰る――そんな地域に根ざしたスタイルが基本でした。
けれども近年はオンライン販売が広がり、東京をはじめ全国各地から注文が届くようになっています。
「私たちはいちご農家です。だからこそ素材の良さを引き出すことが一番の使命。スイーツはその味を届けるための手段なんです」
笠原さんがそう語るように、美作農園にとってプリンやケーキはゴールではなく入り口。
スイーツを通して果物の魅力を知ってもらい、そこから農園のファンになっていただく――そんなストーリーを描いているのです。
これからは、もっと多くの人に「果実を味わう体験」を広げたいと考えています。
農産物として並べるだけでなく、ギフトとして贈られ、食卓で特別な時間を演出する存在にしたい。
その背景には、花づくりの時代から変わらない「人に喜んでもらいたい」という想いがあります。
贈答用として大切な人に届けるのはもちろん、自分へのご褒美にもぴったり。
スプーンを入れた瞬間にきらめく果肉ジュレや、ひと口食べたときの驚きは、単なるデザートを超えた体験になります。
「果実って、こんなに奥深いんだ」
「いちごって、こんなに美味しかったんだ」
美作農園が届けたいのは、そんな小さな発見と大きな感動です。これからも水と土と人の手間を惜しまず育てた果実を通して、
贈る人にも贈られる人にも、特別な時間をお届けしていきます。
花づくりから始まった美作農園の物語は、いまでは「果実を味わう体験」を届ける物語へと進化しました。
丁寧に育てたいちごやぶどう、そしてその魅力をぎゅっと閉じ込めたプリンやケーキ。
どれも一粒一口に、農園の人たちの想いと手間ひまが込められています。
大切な人に贈れば笑顔が生まれ、自分へのご褒美にすれば心がほっと満たされる。美作農園のスイーツは、そんな時間を届けてくれる存在です。
忘れられないひとときを。美作農園の果実とスイーツを通じて、ぜひ感じてみてください。

広報担当で農園スタッフの笠原さんにお話を伺いました