WAO(ワオ) FUTURE LUXURY ~未来のラグジュアリー世界~
WAO 総合プロデューサー
生駒芳子
(ファッションジャーナリスト)
モノ作りの原点に立ち返るいま、
日本が誇る歴史ある伝統工芸世界を最先端のクリエーターや、プロデューサー、
ブランドと結んで、かつてない美しさ、驚き、発見を伴う、
未来型の工芸世界を紹介していくプロジェクトです。
出会って思わず、「WOW!ワオ」と叫びたくなる、
また「和生(ワオ)=新しい日本の美意識を感じさせる」という意味をこめて、
世界が生まれ変わる時を迎えた今、
進化型のファッショナブルなアイテムをご紹介します。
400年以上の歴史を持つ会津もめん。
<はらっぱ>は会津若松で120年暖簾を守り続けた会津もめん工場である「原山織物工場」を継承するために2015年3月に生まれたブランドです。
盆地特有の冬は寒さが厳しく、夏は暑い気候の中でかつては、野良着として親しまれてきた会津もめん。堅牢でありながら冬暖かく、夏は風通しが良く、厚地で丈夫であり、保温性、吸汗性に優れています。
<はらっぱ>では「原山織物工場」が守って来たポリシーをしっかりと受け継ぎ、また次世代への橋渡しとなるよう心がけ、新しい試みにも取り組んでいます。使うごとに風合いを増していく会津もめんを、より身近に親しみやすいアイテムとしてトートバッグや、ポーチなどをご提案。ぜひ色柄の美しい会津もめんをお楽しみください。
<HARAPPA>
トートバッグ 5,184円から
100年以上続いてる会津若松の小さな工房ですべて手仕事により作られています。漆の持つ温かみと、木の優しさを表現しつつ、驚きの軽さも実感していただけます。仕上げにウレタンコートを2回、ふきあげ作業もしており、漆に弱い方にも安心してお使いいただくことができます。
坂本これくしょんアクセサリーの原点「つや玉」ををあしらったものから、今回は蒔絵の技法で銀色粉を牛革にあしらった新感覚のアクセサリーなど新たなラインナップを揃えてご紹介いたします。その日の気分やお洋服の色とコーディネートを楽しんだりと、フォーマルからカジュアルまでお使いいただけます。
<坂本これくしょん>
革ロングネックレス「観覧車」各種 15,120円から
<坂本これくしょん>
1900年創業。以来漆の精製とその加工に携わる。現在では、その漆とそれを取り巻く様々な伝統技術を現代の工業製品や建築素材に活かし、新しい価値を生み出しています。
和木に漆の艶やかで軽いアクセサリー。「軽い」ということは長く付き合える装飾具の条件と考え、和木を素材に漆独特の艶やかさを放つアクセサリーを製作している。
南部鉄器は、約400年の歴史を誇る「盛岡」の伝統工芸品です。
陶器や磁器の急須に比べて、格段に割れにくいのも特長。
長く親しまれ、愛され続ける理由には、南部鉄器の場合、使いやすさに加え、洗練されたデザインもその理由の一つです。
鋳肌の独特の質感、深みのある色合いは、他の素材では表現出来ない温かみがあり、どこか心安らぐ美しさ、どこか心安らぐ美しさは、日本古来の侘び寂びの通ずる唯一無二のものです。
〈WAO×三越伊勢丹〉南部鉄器カラーポットセット・・・19,440円
紅茶をより楽しむため、生まれたこの南部鉄器は、日本の伝統とモダンな要素を掛け合わせた紅茶用の鉄器です。一見すると鉄器らしくない大胆な色づかいは、まさしく伝統とモダンの融合。日本が世界に誇る名品をぜひご覧ください。
協力:アンシャンテ ジャポン
南部鉄器 製作風景 ※写真はイメージです
鉄を溶かすには、1,500度という温度に熱しなくてはなりません。
南部鉄器を作る工程の一番始めは、鋳造という作業です。鉄を溶かし、砂でできた鋳型に流し込むことをいいます。
成分や温度、鋳型に流し込むタイミングによっても、鉄の厚さや形が変わってしまうため、熟練の職人だけができる専門職なのです。
伊勢型紙は三重県鈴鹿市で伝承される伝統的な染色道具。和紙を柿渋で貼り合わせた専用の材料「型地紙」に四季折々の紋様を彫刻し、着物や浴衣、手ぬぐい、印伝など様々な物の染めに使います。
江戸小紋に代表される遠目に無地に見える程の繊細な小紋を彫刻できる高い技術が伊勢型紙の特徴です。四つの彫刻技法がありますがすべての技法を極めるのは難しく、私は主に突き彫りを修行しています。
突き彫は小刀の刃先を針のように鋭く研ぎ、ミシンのように上下に小さく刻みながら自由な形を彫り抜く技法です。ひと彫りひと彫りを大切に、手彫りならではのあたたかさと日本の紋様の美を暮らしの中で楽しんでいただきたいと願い制作しています。
伊勢型紙職人 那須 恵子の創りあげた伊勢型紙を使用し、山梨県白州で工房を構える松永恵梨子さんの小紋染 を施した半衿と手ぬぐいです。精魂こめた型彫りと手染めで仕上げた手わざの一品をご紹介。
<伊勢型紙>半衿・手ぬぐい各種 1,728円から
伊勢型紙の染め物ができるまで ※写真はイメージです
図案に合わせた小刀を砥石で研ぐ。
和紙と柿渋でできた専用の型地紙に模様を彫刻する。
染めの職人さんによって型紙の上から白生地に糊が置かれる。
型紙を移動しながら柄をつないでいく。
伊勢型紙職人
那須 恵子 ナスケイコ
1982年岐阜県生まれ。高校のデザイン科を卒業後、県内の印刷会社で商業イラストやデザインの仕事に8年間携わり退社。その後、手工芸品の仕事を探す中で伊勢型紙に出会い衝撃を受ける。入門しようにも入口がない中、奇跡的に2010年現在の親方である生田嘉範氏に弟子入り。技術の研鑽に励む。また、これからも型紙をつないでいく為に型紙の発信や業界の振興を目指し活動している。
小紋染
松永恵梨子
マツナガエリコ
東京の染工所で修行した後に2016年山梨県白州で工房を構える。
伝統工芸品に指定される越前漆器は、福井県鯖江市で生産され、木製漆塗りの椀や膳を永く作ってきました。それは昔、各家庭での冠婚葬祭の折などに多く使用されてきたため、丈夫さと機能性が求められました。<光琳堂>はこの伝統と技術を大切に守り、現代の生活様式に合った完成を取り入れて「暮らしを楽しむ、食卓を楽しむ漆器作り」をコンセプトに。新たな越前漆器のブランド構築を目指しています。
<KORINDO>うるしピンズ 3,240円から
制作工程 ※写真はイメージです
1.木地加工
厚さ4ミリ程度の板状に切ったヒバの材料を、レーザー加工により様々な形に仕上げていきます。レーザー加工を施すことにより、手作業に比べて、大きさ、形などをより正確に作ることができます。
2.漆塗り
普段はお盆や重箱を作っている熟練した職人が、塗っては研ぎを繰り返して、ひとつひとつ丁寧に、漆刷毛で手塗をして仕上げていきます。
3.加飾
熟練した蒔絵師が、表面に漆または色漆を使用してフリーハンドで模様を描き、金・銀・錫粉などを蒔いたり、螺鈿を貼り付けて仕上げております。
京都で永きに続く京友禅の伝統。
<ritofu>は独特の色や、
世界に類を見ない多色使いで
日本の美意識を現しています。
最高級の振袖用着物生地で作った、京手描友禅染めのクラッチバッグ。すべて職人の手作業で染められています。
と、WAO 総合プロデューサーの生駒芳子氏。
<ritofu>クラッチバッグマグネット瑞雲 37,800円
京 手描き友禅 富宏染工独自の工程 ※写真はイメージです
絵師と最終的な図案を決定し、それをもとに仮仕立てした白生地に青華で模様を描いていきます。
「糸目を引く」ともいわれる作業で、糊を絞り出すようにして、下絵に沿って細い線を描いていきます。
伝統の工法で独自に地入れ液を作り使用。液の濃度によって、友禅の色の付着する度合いが変わります。地入れ液は大きな刷毛で一反すべてに引き、これを一晩自然乾燥させます。
きものにより深みを出すために、細部に至るまで刷毛を使用。独自の手法により何色もの地色を施し、より美しく華やか配色は可能になりました。
きものを蒸し箱に入れて80~90度の蒸気をあて鮮やかに発色させます。その後水で洗い流す水元という工程。濃い地色や鮮やかな配色の場合はこの蒸しを2回~3回繰り返します。
京手描友禅のきものを、さらに華やかに表現するために、染め上がった生地に金や銀の箔、金粉等を接着加工します。きものの色と金彩の調和により、京友禅ならではの美が表現されます。
1971年設立。ヤシマ真珠は透明感があり、キメの細やかなアコヤ真珠、豊な大きさと色の南洋真珠などを素材に、美しさを最大限に生かしたデザインと、クラフトマンの繊細で高度な技術をもって製作しています。
『伊勢志摩の地にいくつもあるパールの養殖場やメーカーさんですが、初めて「ヤシマ真珠」のショールームを訪ねたときは、そのおしゃれなデザインと豊かな品揃えに驚き、感動しました。「おしゃれの決め手は、センスです!」と言わんばかりの、パールを用いたさまざまな表情をもったジュエリー、アクセサリーには、パールのイメージが一新するくらいのインパクトを感じたのです。ファッションとパールは、相性がよいのですが、いままではどうしてもフォーマルなイメージが強かったように思います。今回は、「パールが胸元のまわりでじゃらじゃらっと軽やかに動く、モードなパールのネックレスがあれば――」という希望をお伝えして、通称「ボンボンロングネックレス」を特別に作っていただきました。カラーストーンの位置を調整したり、二重三重に使ったりと、まさに2倍にも3倍にも楽しめるアクセサリーとなりました。遊び心のあるパールを身につけると、格の高いモード感が楽しめます!』
と、WAO 総合プロデューサーの生駒芳子氏。
<ヤシマ真珠>BONBONロングネックレス 302,400円
アコヤ真珠ができるまで (養殖工程)
真珠養殖の過程
いかだに母貝を入れたかごをつるす
貝に外套膜の切片と核を移植する
貝に最良の環境をつくるために貝の掃除をする
養殖した貝から真珠を取り出す作業
粗塩に水を加え回転させて洗浄する
光沢や色にむらがあるものをのぞき、ホワイト、ブルー、イエロー系に選別する
真珠の表情を合わせる。色、大きさ、形などを調和をはかりながら、並べかえる
試作を繰り返し、真珠の大きさ、色などをあわせながら並べる
パーツを制作し、ブレスレットに組みあわせる
岩手の漆や成島和紙などを素材に、漆塗りや張子などの工芸技術を取り入れた軽くて耐水性のあるバッグを製作している<コシェル ドゥ>。岩手を拠点に活動している小笠原禎さんと澤藤詩子さんのユニットです。
岩手を代表する民芸品である六原張子は、約60年前から作られています。初代が、昭和30年代に考案した「裏張り」の技法によって、二代目がお面や干支人形、縁起物や招き猫などの張子を作ってきました。三代目にあたる私達は、この六原張子の技法を応用し、耐久性を高めるために乾漆の技術とミックスさせた独自の技法を開発しました。岩手の漆や和紙などを素材にして、見た目は重量感があるものの、軽くて丈夫なバッグを。猫や小鳥を象った、張子の自由なカタチが作れる特性を生かした楽しいバッグを展開しています。
<コシェル ドゥ>猫バッグ…36,720円
小鳥バッグ…32,400円
「岩手県の工房を訪ねたとき、小鳥や猫などの形をしたたくさんの張子のバッグが並んでいる様子を見て、とても興奮したことを覚えています。作っていらっしゃる澤藤さんと小笠原さんのお二人は、東京でデザインの腕を磨いたセンス抜群のクリエイターさんです。そのお二人の手によって、伝統の張子が、こんなお洒落に生まれ変わるんだ! と、まさに伝統工芸の未来が見えるバッグに思えたものです」(生駒芳子)
猫バッグ・小鳥バッグ 製作風景 ※写真はイメージです
型から抜いた紙のパーツを、カタチが崩れないように注意して、バリの部分をクリップでとめて、天日で2,3日乾燥させます。
完全に乾燥させた張子は、クリップでとめてあったバリを、ハサミやカッターで削り取ります。
バリを取って綺麗に成形した張子に漆を摺り込み、乾燥させた後、麻布を糊漆(のりうるし)で貼り込んでいきます。
有田焼の陶祖、李参平の住居跡に開業した「李荘窯業所」。
時代の移り変わりと共に、磁器彫刻の制作から、
食器の生産へと変遷する。
そして今―。
蓄積されてきた伝統と品質により、
時代に左右されない美しいカタチを追求。
新しいことに挑戦し続け、
今後も更なる努力を重ねていきたい。
熟練の職人技と最先端技術の融合によって誕生した、
美しい球体のお重。
藍を基調とする藍手毬をモチーフに、
最新のデジタル技術を駆使して、
従来の手法では困難だった形状の実現にこじつけた。
長年積み重ねてきた経験と勘が完成度を決める。
<李荘窯> 有田焼 球形お重箱 … 27,000円
有田焼 球形お重箱 製作風景 ※写真はイメージです
手にしているのは、珠型5段重に文様を付けるための型紙。これを生地に写し、絵付けをしていく。
想像した形を立体にしていく作業。ここから李荘の新しいカタチが生み出される。
1つ1つ丁寧に描かれ、生きた線を繋いでいく。
坂本これくしょん
ritofu
コシェルドゥ
和世界の本場、京都を訪ねた際に、富宏染工を訪ねました。
昔ながらの工房は、畳の部屋の中に、大掛かりな木造の機械が設定されており、そこで、京友禅の反物が職人さんたちの手によって、丁寧な作業のもと、仕上げられていました。花鳥風月の古典的で優美な柄は、このうえもなく美しい色彩で色どられており、まさに日本の着物の美意識を象徴する世界であると、たいへん感動しました。
日本を代表するVIP、あるいは歴史的建造物のための貴重な着物、格の高い着物地を手がけられているお父様のあとを継がれたという、藤井友子さんの案内で、工房見学をしたあと、アーカイブと、現在作られているモダンなアイテムのコレクションを拝見しました。日本ならではの古典的、芸術的な美の世界に感動をした私に、藤井さんが語られたことは衝撃的でした。「着物の世界には、素晴らしい美意識、文化が宿っています。でもいまのままでは、未来につながりにくい状況です。着物の文化を現代的に解釈する道筋を、皆で模索しているしだいです」
その藤井さんが開拓されたブランド<ritofu>は、着物文化から生まれたクラッチバッグ、名刺入れ、ポーチなど、現代女性の感性を刺激する優美で、モダンな世界観が、まさにクール・ジャパン的!と話題です。カジュアルなデニムファッションから、モードなイヴニングスタイルまで、オールマイティに持ち歩けるのは、京友禅のなせるラグジュアリー世界ならではの魅力。着物世界の優美な感性を私たちの日々のライフスタイルに持ち込み、楽しむことは、和世界を未来に繋ぐ一つの方法ともいえるでしょう。