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おすすめのメスカルとメスカルにあう簡単おつまみレシピ!
メスカルの魅力とは?世界的なメスカルムーブメントの背景に迫る

ポスト・クラフトジンとして、世界のバーシーンを牽引するスピリッツの一つ、メスカル。南米メキシコ生まれの多肉植物(日本語では竜舌蘭、メキシコではマゲイと呼ばれる)を原料とした蒸留酒は、日本ではまだまだベールに包まれた存在です。その歴史や特長、昨今のサステナブルな文脈でも注目されるメスカルを、シンボリックに体現したブランド<ロス・ダンサンテス>から紐解きます。

おすすめのメスカルとメスカルにあう簡単おつまみレシピ!

INDEX

メスカル好きシェフが語るメスカルの楽しみ方

メスカルの「味」「原料」「歴史」とは?
―メスカルは、古くて新しいスピリッツ

原始の酒か現代の酒か?ここ数年で俄かに耳にするようになったメスカルは、“焼いたアガヴェ”が語源という蒸留酒(スピリッツ)。アガヴェとは多肉植物の一種で、大きなものは重量が100kgほどに成長。メキシコを中心としたアメリカ大陸に生息し品種も様々です。短いもので7.8年、長いものは25年以上かけてたった一度花を咲かせ、その後は枯れるという、ちょっと切ない一生を終えます。

アガヴェ

そして、ローズ状に巻いた葉の中心部に育った高品質の花茎を収穫し、これがメスカルの原料となります。花茎を守るように巻いた葉は、大きな鉈のような刃物を使い人力で落とします。これだけでも十分に大変そうですが、メスカルが蒸留酒として特殊なのは、蒸留前に原料を蒸し焼きにする調理工程でしょう。

収穫

これはアガヴェに限らず、インディオなど先住民族に今も残る原始的な調理法です。土を堀って焼き石を入れ、その上に食材を置いて蒸し焼きにする。アガヴェの場合、4日前後蒸し焼きして糖度をさらに高めた後に人力や馬で砕き、木製樽に入れます。そして空気中に浮遊する酵母を呼び込み、自然の力にまかせて発酵させて、もろみを造ります。

アガヴェ

アステカ王国時代、このもろみを濾過も蒸留もすることなく人々は飲んでいました。プルケという日本のどぶろくに当たる古い酒です。メキシコにもろみの蒸留法を持ち込み、メスカルを生み出したのはアステカ王国を支配したヨーロッパ人たちでした。その後メスカルは、メキシコの人々の土着の蒸留酒として定着。その土地ごとのローカル品種のアガヴェを用いた地酒的蒸留酒がメスカルです。

この地酒をグローバルに発信したのが、メキシコの一部の州に生息する品種、ブルーアガヴェを用いたメスカルの一種のテキーラ(テキーラは地域名を指す)でした。しかし、世界的ブームがある意味災いし、工業化、品質劣化、そして一番の問題は原材料のアガヴェ不足を引き起こします。未熟なアガヴェを使用し、様々な添加材料を用いたテキーラが主流になりました。

一方、大元であるメスカル界は、本来の土着性や伝統製法、品質を改めて見直し、徹底し続けました。その姿勢がナチュラル思考、持続可能性といった世界のトレンドにマッチしたことでメスカルは一気にブームとなりました。そのさきがけとなり、今なお中心的な役割を担っているメスカルが、今回ご紹介する<ロス・ダンサンテス>です。


メスカルカルチャーを牽引する<ロス・ダンサンテス>のメスカルの魅力

ロス・ダンサンテス

<ロス・ダンサンテス>はメスカル生産の中心地、メキシコ南部のオアハカ州に蒸留所を構えます。オーナーは、モダンなメキシコ料理のレストラン、バー、カフェなどを経営する実業家のハイメ・ミュノス氏。また、激減するアガヴェを守るため、アガヴェを野生から収穫せずに、困難な中、あえて栽培したアガヴェのみを用いている点です。また、地元のチャピンゴ大学にも出資し、アガヴェの生態や生育方法、蒸留後の残渣も環境に配慮した物質に転換するシステムも開発し、蒸留所の責任者には薬学専門家(アルケミスト)の女性を登用。古参の男性マエストロが経験則を頼りに造る業界に、新たな風を吹かせています。伝統と未来を俯瞰しながらメスカルを牽引する蒸留所が<ロス・ダンサンテス>なのです。

女性蒸留責任者

このメスカルの流れを評価したのが、欧米の洗練されたバー文化を牽引するハイクラスな人々、サステナビリティを重視する感度の高い若者たちでした。メスカルは、古くて新しい酒として、グローバルに再評価され始めたのです。


料理人が提案する「メスカル」の食中酒としてのポテンシャル。
―メスカルに合わせたい!自宅で出来る簡単おつまみ

このメスカルに注目しているのが、世界の料理の潮流を捉えていると定評ある料理人で、現在は渋谷PARCO内にあるChompoo(チョンプー)で、モダンタイ料理を提案している森枝幹さんです。数年前にメキシコを訪れた森枝さんは、クオリティの高いクラフトなメスカルが日本に入ることを待ち望んでいた一人。今年3月に日本に登場したメスカル<ロス・ダンサンテス>もいち早くチェックしていました。

森枝さんが着目するのは、食中酒としてのメスカルの面白さです。メスカル再評価の発信地は世界のバーでしたが、<ロス・ダンサンテス>のミュノス氏もまた、自身の経営するレストランでは食中酒として積極的にメスカルを提案しています。今後のメスカルの注目点は、どうやらこの食中酒としての可能性にありそうです。

森枝さん

「<ロス・ダンサンテス>のホベンを飲んだ時、アタックは洗練されて柔らかいのに奥に土っぽさ、力強さを感じました。瞬間的にこれは、そばにあう!と。蕎麦湯で割って飲んだら案の定マッチしました。気に入っていろんな人にすすめましたね。料理と合う酒の共通点はノイズがあること。メスカルはまさに、いいノイズのある酒。それが料理人の心をくすぐります」

そこで森枝さんに、メスカルの食中酒としての可能性を自宅で体験できるような、おつまみメニューを提案してもらいました。合わせるのは<ロス・ダンサンテス>の異なる個性あるメスカルです。


シェフ・森枝幹さんによる「メスカル」に合う簡単おつまみの作り方

ホベン

「ホベン」は蒸留後のフレッシュ感を生かした、熟成させない軽やかで柔らかなメスカル。ただし、その奥には野性味が隠れています。森枝さん曰くメスカルを料理と合わせるポイントは「辛味とフレッシュ感」。

一品目は、明太子(辛味)と生姜(フレッシュ)。二品目は、わさび(辛味)とライム(フレッシュ)。あえて味をなじませず、それぞれの素材の味がゴツゴツするくらいがメスカルに合うそうです。なので、わさびもすりおろさずに刻み、塩も仕上げにさっとふり、決してなじませない。素材の凸凹の隙間に入り込み、ソースのように面白味を足すのがメスカルなのです。

そば・明太子・生姜

▲「ホベン」の奥に潜む野生味に、土っぽい蕎麦の風味を合わる。明太子の辛味を和らげるようにじんわりほっこり、メスカルと蕎麦の後味がやって来る。

■簡単レシピ
市販のそば及びそばつゆに明太子と刻み生姜をのせる。こちらのおつまみには、ホベンの蕎麦湯割りを合わせるのが森枝シェフの密かなマイブーム。蕎麦湯:ホベン=9:1で割ります。

白身の刺身・わさび・ライム

▲軽やかでひたすら爽やかなヨーロッパとアジアが融合したエスニックなカルパッチョ。

■簡単レシピ
わさびは下の方を刻み、刻んだパクチー、ライムジュース、オリーブオイルと合わせて、白身の刺身にかける。最後に塩をふる。

「レポサド」は、アメリカンオーク、フレンチオークの新樽で約9ヶ月熟成させたタイプ。
「ホベン」に比べると味に厚みがあるので料理に旨味を足すのがポイントです。

アボカド・唐辛子味噌・奈良漬

▲ワカモレのイメージ。樽熟成したレポサドの余韻に味噌や奈良漬など日本の発酵食品の後味が並走する。

■簡単レシピ
スライスしたアボカドと同じく、スライスした奈良漬と交互にするように盛り付け、唐辛子味噌を添える。

「アリプス」は同社が地域ごとの蒸留所と協力してコラボレーションし、異なるテロワールを表現したメスカルです。アガヴェの品種はエスパディン。“パーン”と来る辛味を足したくなったという森枝さん。瑞々しいフルーツの酸に、生胡椒の目の覚めるような辛味を合わせました。

キウイ・梨・ハーブ・生胡椒

▲フルーツの甘み、酸、生胡椒のフレッシュな辛味がリズム良くたたみかけてくる。そこに染み込むメスカル。

■簡単レシピ
同じぐらいのサイズに切ったキウイと梨にフレッシュハーブ(写真はディル。他でも可)、生胡椒をのせる。

レモンサワー

食事に合わせるなら、グレープフルーツサワーにして飲むのもおすすめです。ホベンとソーダを1:9で割り、グレープフルーツを1/16カットして添えます。ライムやレモンでも良いのですが、森枝シェフ曰く「ロス・ダンサンテスはグレープフルーツが特に合います。レモンなど、他の柑橘でなくグレープフルーツを使う理由は、シャープな香りのミネラル感と苦味を感じられるから」。

自分は、まだまだメスカルは初心者という森枝さん。もっと深くメスカルの魅力を語るならこの人と、メキシコ出身でモダンなタコス料理店「ロス・タコス・アスーレス」のシェフ、マルコ・ガルシアさんを紹介してくれました。後編は、メキシコを一緒に旅した仲良しなお二人の対談をお届けします。

writing:Kaori Shibata

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